2013年05月03日
自然栽培と農業ビジネス
山梨より帰宅・・・本日は百匠隊の農業体験イベントのチラシ撒き
詳細は、山梨☆木村式自然栽培勉強会の会長さんに「情報どこまであげても良いか?」 伺ってから、アップ予定なり。皆さん、会員さんはきちんとお金を支払って、参加してる訳で・・・。
2011年12月11日・無農薬りんご(過去記事~りんご売りの少女より)
皆様お疲れ様です。松木武久農園のうさぎです。山梨は石和で、うさぎよりも早くから無農薬でのりんご栽培に取り組んでる、農業女子の先輩から 今年も貴重な 「無農薬・無化学肥料~自然栽培」で実ったりんごが届きました
野良り食楽りな日々・・・http://ameblo.jp/norarikurarinahibi/
*小さい方は市内の安茂里などで無農薬でりんご・桃を栽培してる塚田さんのりんごです。
塚田さんのりんご・桃がネットから購入できるサイト・・・http://shinsyu-yasai.com/SHOP/44030/list.html
*野菜ずくしとは?・・・SlowCAFEずくなしと
無農薬有機栽培に取組む農家さんとの出会いから
「やさいずくし」が生まれました。
お店の方にも、メールでのお問合せでも、今年は 「無農薬のりんごを購入したい。」 という声が届き始めてます。もちろん現在の顧客層からパーセンテージで考えたら、まだほんの一部ではあります。
ブログをご覧になって、わざわざ店舗まで来店くださった方、無農薬のりんごを捜し求めて、メールを頂いた方、知り合いの野菜ソムリエさんのお知り合い・・・。きっと木村さん達が頑張って、全国行脚して講演会に回った効果が、一般の消費者にも広まってきたのだと思います。
2013,5月3追記
~うさぎは、木村さんのご本をたくさん買ったり、講演会に出たり・・・してはおりますが、間違ってるとこも、多々ございます!・・・ので、きっちり学びたい方は、ご本がたくさん出てるので、ご自分で調べて購入してくださいませ。
注:木村さんご本人も 「私も自然栽培で成功した訳でないので、皆さんでデータを集めて、研究して模索して参りましょう。」
仰っております。木村さんはプロフェッショナルだけど、教祖様になりたい方では、さっぱりございません・・・ように、うさぎからはお見受けされます。
でも、現状では
「無農薬・無肥料での果樹栽培は、手間も時間も、人手も、年数もかかる。」
「自然栽培の畑は、基本的に草ぼーぼーで草刈りもしない。
秋場に地温を下げる為に刈る。」
→ 草を生やすコトが目的ではなく、化学肥料や農薬散布で弱ってしまった土壌に、本来の自然の力を呼び戻す為や、農薬をまかなくても、りんごの木を含む生態環境・自然環境を整える為に、草を刈らないだけ。りんごの葉っぱや実、幹を食い荒らしてしまう虫を食べてくれる虫を増やす(食物連鎖)のサイクルを農薬がなくても、整う為の手段なんです。
→慣行栽培でさえ、高齢化・人手不足・採算性が合わずに農業をやめていく中で、「リスクの大きい無農薬栽培」に挑むような体力は農家さんにはほとんどない。
(80歳のお年寄りに、健康の為にフルマラソンをしろ!と言ってるのと同じ)
「自然栽培と、自然農法」 「有機栽培と自然栽培」 それぞれの違いも、プロの農家さんでさえ正しく把握していない場合も多い。
「オーガニック」=有機栽培? 「オーガニック」=自然栽培? 日本での「オーガニック」の定義も曖昧。
→自然栽培は全く自然にまかせる訳ではなく、農薬や化学肥料・有機堆肥も入れない分、慣行栽培以上に経験や手間もかける必要がある栽培法である。
→木村さんの書籍(「腐敗実験」の項)を読めば分かるように、有機栽培の農作物と、自然栽培の農作物には雲泥の差がある。
2011年11月23日、自然栽培実践塾(木村さん動画)・・・
そして、今年も群馬のパン屋さん~大地からのおくりもの☆トライアングル~さんより、アップルパイやパンが届きました! もぅ何年くらいのお付き合いでしょう? 紅玉を求めて、店舗に寄ってくださって以来のお付き合いです。
「紅玉」はお菓子業界ではかなり需要があるのですが、あまり市場に出回らないし、大きいメーカーさんやレストランさんは受注生産で指定の農家さんと取引してるようなので、市場やJAに出荷したりする農家さんは、あまり栽培してなかったりします。
どの品種もそうなのですが、市場出荷だと毎年の価格が安定しないし、メインの「サンふじ」などに比べると、価格だけでなく買い手が一定ではないので、大量生産するにはリスクが大きいのです。農業も結局は採算性がないと成り立たないので、少しだけ作っても品種によって作業時季も、それぞれの品種でずれてしまうので、効率も悪くなります。 しかも、日持ちがしない!買い手がつかなかった場合に、日持ちがしない品種は本当にリスクが大きいです。
ジュースなどの加工に回したり、市場での価格が値崩れした場合に、直接の買い手を捜したりする余力がない農家にとっては、作り続ける意味がなくなってしまうのです。
例え、小口でも毎年、毎年、買ってくださるお客様が固定層としていれば、10年、20年とかかる果樹栽培を続けていけるのですが・・・。
そんな理由で、ただでさえ高齢化で人手が減り続けている果樹農家さんは、「紅玉の木」 は切ってしまう事が多いのです。
りんごの世界も、ファッションやスイーツと同じで流行の移り変わりが激しい業界です。どんどん新しい品種が、毎年、毎年、品種改良されて生まれてきますが、消費者の口にも、目にも届かぬうちに消えていく品種もとても多いです。
りんご品種一覧・・・http://homepage3.nifty.com/malus~pumila/tabl_2/tabl_2.htm
~現在、松木武久農園で栽培してないけど、お客様から要望がある品種~
・インドりんご
・ゴールデンデリシャス
・北斗
・千秋
・ジョナゴールド
~現在、栽培してる品種~
・サンつがる
・シナノドルチェ
・秋映
・シナノスイート
・シナノゴールド
・新世界
・紅玉
・世界一
・シナノピッコロ
・あいかの香り
・王林
・名月
・サンふじ
~来年以降に収穫できる品種~
・夏あかり
・シナノホッペ
・・・ケント
うちに働きに来てくれる方達や、お客様が、いつも言うのが
「りんごに、こんなに品種があるって知らなかった!!」
長野市内の方でも、そういう声がとても多いです。 うちがこんなにいろんな品種を栽培してるのは、武久君が採算が合わなくても古い木を切りたくなくて残してきたってのと、13年前に店舗を始めたからだと思います。
働きがあんまり良くないけど、長年付き合って情も沸いてる社員をリストラ出来ないで雇っていたら、時代と業務体型が変わった事によって、その社員が意外と役に立つ日がきた・・・。 そんな感じでしょうか?
ただ、果樹は野菜に比べると 「少量多品種で採算性」 を出すのが非常に難しいです。うちは店舗があったり、レストランへの直接卸しがあったり、スーパー卸しがあったり、他県の業者さんと取引があったり・・・売り先が需要に応じて、いろいろあるので何とか、かんとかやっていけてる状況です。
効率や採算性だけでいったら、今年のような全国的にりんごの収穫が減って、価格がはね上がってる中では、店舗でバラ売りしたり、手間も時間もかかる直接取引の小口の全国発送などしているよりは、ドドーンとトン単位で市場に出荷した方がよっぽど楽なんだと思います。
ただ、今年のような年はめったにないし、りんごの出来に関わらず、価格の変動・相場に左右されるのがイヤで始めた店舗です。
「今年は不作だったから儲からない。」 だったら、農家さんも仕方ないと納得するでしょう?でも、そういう訳ではないんです!
「今年は大豊作で、りんごの出来も上出来!」
・・・そんな年は収穫量が多ければ多い程、価格は値崩れします。需要と供給の関係で仕方ないとは思うですが、なかなか現場で農作業だけを本業にしてる農家さんにとっては厳しい現実です。一年かけて作った、とっても出来のいいりんご・それこそ生食でそのまま食べたら美味しいりんご、を加工にしか回せなかったり、二束三文で肥料代も出ないような価格で売らなければならない年もあります。
毎年、毎年が大バクチです。 市場の価格変動と、景気、そして何よりも自然環境、災害や台風、天候不順によって左右されてしまうのが農業です。きっとはうちの両親は、店舗を開くまでは 「お客様の顔」 なんて事は考えたコトさえなかった思います。市場で人気のある、「ニーズ、需要」のある品種・高く売れるりんごを栽培してきただけなんだと思います。
それが、まずは経済優先で、お店を開いてみたら・・・
「こんなに自分達が作ったりんごを喜んでくださる方達がいる! 昔の忘れ去られたような品種を買い求めに来るお客様がいる! 傷があったり、鳥がつついたり、色付きが悪くても、味さえ美味しければ、買ってくださるお客様がいる。」
農業をやってきて、初めて 「りんごを食べてくださる方達の顔」 が見えた瞬間なんだと思います。それは、経営が安定するという事以上に、嬉しい事だったんだと思うんです。
うさぎは、どっちかって言うと、アルバイトも接客畑を経験してきたので、接客の楽しさ・難しさとかは当たり前のように思っていました。雇われてする接客の仕事と違うのは、
「第一線の現場を知っている商品を売れる」
という事だと思います。 それはきっと大きな強みであり、弱みなんだと思うのです。私がお店で足かけ10年くらい接客してきて、当たり前のようにしてきた事が、お客様には新鮮だったり、または通じなかったり・・・。
だって考えてみてください! バナナだけ、さくらんぼだけ、みかんだけ、苺だけを売ってる店って経営が成り立つと思いますか?
例えば、パン屋さんはあるけど、ヨーグルト屋さんは・・・?
みんなが毎日飲むけど、牛を飼ってて、牛乳だけ何種類も売ってる店って・・・ないですよね?
牛乳とチーズとヨーグルト・・・それにジェラードやアイスクリーム・チーズケーキが商品にあったら経営が成り立つと思います。でも、それぞれの商品の企画から、商品開発、製造に経費がうんとかかるから、相当な売上があがらないと難しいでしょう。
それなのに、うちは・・・りんごとりんごジュースのみ(そりゃーお米やお付き合いのあるお店の商品、蜂蜜だの、味噌だの、桑の葉で作った石鹸だの・・・置いてあったりはしますが)
学生時代に親友に 「でも、凄いよね? のんちゃんちは、りんごだけ作って、のんちゃんを大学まで出して、家族5人で暮らしてるんだもんね? りんごだよ。 お菓子みたいなもんじゃん? 一個100円なんでしょ? 何個売ってるのさ???」
言われて 「・・・そ、そうだね。駄菓子屋みたいなもんだね。 何個って・・・とにかくいっぱいだよ。トンだょ。」
商売として考えると、相当うまくやらなければ、いっくら品種が多くっても、「りんごは果物であって、主食ではない」ので、難しい業態なんだと思うんです。
ただでさえ、経営の「ケ」の字も分かってないような自分が、農業で食っていこうとしており、しかも農業者としての経験や技術力がある訳でもない! そこにきて、「無農薬でりんご栽培」 を始める。
はっきり言って、狂気の沙汰です。 80歳で悪性腫瘍を抱えてるのに、孫を背負ってフルマラソンに出場する!
くらいの状況だと思います。 どうしてこんな道を選んでしまったのだろう?って思う日もあります。後悔とかではなく、本当に自分にそれをやりおおせるだけの力があるのか??? 今は、両親も何とか元気で、研修生達もいて、村の農業のプロのおばちゃん達もいて、頼りになる店員さんもいて、助けてくれる仲間もいて・・・周りに大迷惑かけながらやっていけてるけど・・・
人件費が払えなくなったら?
まず、両親のどちらかが働けなくなった途端に、うちは松木武久農園としては機能しなくなるだろう。
そして、それは石油が世界的に枯渇する日よりも、確実に早く訪れるだろう。
自分1人で農業で食っていける訳もない。しかも親の介護とかしながら・・・。病院代とか家事全般とかしながら。
ただでさえ、生っちょろい考えと、両親への甘えと、精神の脆弱さを抱えた自分に、そんなアクロバットな夢を実現できる訳がない!! 一体どうする気なんだ!?
「多品種・多生産の業態を見直す」
「無農薬栽培は諦めて、小さな畑とお店だけの経営にする」 →じゃー、農業をやろうと腹をくくった原点は? SFG会を応援してくださっていた仲間の想いは?
「品種は、無農薬栽培に合わせたものだけにして、お店は閉じて、栽培に集中して、受注生産のみにする」→せっかく松木農園のりんごを待ってくださってるお客様たちは? お店を自分の友人とかにまで、紹介してくださって応援してくださっている方達の気持ちは? 今まで一生懸命、営業してきた努力は?
「いっそ、自分が向いている営業力を生かして、フリーのバイヤーさんになって、農家とレストラン・消費者・流通業界のつなぎ役になる」→そんな仕事で食っていけるだけの能力が自分にあるのか? だいたい農業に携らないなら、自分にとっては、そこに農業に関わる意味があるのか? 「畑の現場に立ちたい!」という想いで、農業を始めたのに?
「松木家の存続と、親のコトだけを考えて、見合いしてサラリーマンと結婚する。農業は趣味程度」→親は大喜びだが、何の為に生まれてきたんだか???
「全てを諦める代わりに、自分の精神の安定だけ考えて、恋愛で好きになった相手となんとか結婚する」→結婚が人生の目的の生き方って? 自分が社会に果たす役割とか(女とか母親としてだけではなく)、今までの暗闇を迷子だった自分は? ひたすら自分がやるべき仕事を、自分なりの生き方を模索してきた年数はなんだったのか??? だいたい、そんな女と結婚する相手が不幸だ。 結婚は薬じゃねーっての。
もぅ、何年も考え尽くしたコトだけど、迷いながらも 「農業に人生を捧げる道」 を進み続けている自分。確かに、営業の結果は出てきてはいるけど、無農薬でりんごを数個だけは実らせられたけど・・・確実に、たちゆかなくなってる部分もある。
答えなんか、ちっとも出ない。
2010年冬、木村さんに初めてお会いする! 2週間後、SFG会(信州を農業から元気にする会)開催後に、青森での「永続性循環型農業シンポジウムに参加」&木村さんの畑を見学させて頂く。
↓ 木村興農社の方が畑まで指導に来てくださる。
せっかく木村さんとツテが出来て、指導もしてもらったのに・・・びんずるだ!セミナーだ、イベント出店だ!・・・と畑に行かずにいたら、実ったりんごは黒星病で全部落下。 葉も8月半ばに全部なくなる。 あまりの自分の不甲斐なさに自分をバカボンにしてみる。。。
山梨の先輩のお宅に畑見学に行き、貴重な木村さんのりんごを食べさせて頂く!!
りんごの花言葉・・・http://www2u.biglobe.ne.jp/~oue/t_hanakotoba.htm
りんごの唄(並木さん)・・・http://www.youtube.com/watch?v=OFXIXF_RYyw&feature=related
りんごの花(青森新幹線CM曲)・・・http://www.youtube.com/watch?v=Rb1TGkXiHLc
詳細は、山梨☆木村式自然栽培勉強会の会長さんに「情報どこまであげても良いか?」 伺ってから、アップ予定なり。皆さん、会員さんはきちんとお金を支払って、参加してる訳で・・・。
2011年12月11日・無農薬りんご(過去記事~りんご売りの少女より)
皆様お疲れ様です。松木武久農園のうさぎです。山梨は石和で、うさぎよりも早くから無農薬でのりんご栽培に取り組んでる、農業女子の先輩から 今年も貴重な 「無農薬・無化学肥料~自然栽培」で実ったりんごが届きました
野良り食楽りな日々・・・http://ameblo.jp/norarikurarinahibi/
*小さい方は市内の安茂里などで無農薬でりんご・桃を栽培してる塚田さんのりんごです。
塚田さんのりんご・桃がネットから購入できるサイト・・・http://shinsyu-yasai.com/SHOP/44030/list.html
*野菜ずくしとは?・・・SlowCAFEずくなしと
無農薬有機栽培に取組む農家さんとの出会いから
「やさいずくし」が生まれました。
お店の方にも、メールでのお問合せでも、今年は 「無農薬のりんごを購入したい。」 という声が届き始めてます。もちろん現在の顧客層からパーセンテージで考えたら、まだほんの一部ではあります。
ブログをご覧になって、わざわざ店舗まで来店くださった方、無農薬のりんごを捜し求めて、メールを頂いた方、知り合いの野菜ソムリエさんのお知り合い・・・。きっと木村さん達が頑張って、全国行脚して講演会に回った効果が、一般の消費者にも広まってきたのだと思います。
2013,5月3追記
~うさぎは、木村さんのご本をたくさん買ったり、講演会に出たり・・・してはおりますが、間違ってるとこも、多々ございます!・・・ので、きっちり学びたい方は、ご本がたくさん出てるので、ご自分で調べて購入してくださいませ。
注:木村さんご本人も 「私も自然栽培で成功した訳でないので、皆さんでデータを集めて、研究して模索して参りましょう。」
仰っております。木村さんはプロフェッショナルだけど、教祖様になりたい方では、さっぱりございません・・・ように、うさぎからはお見受けされます。
でも、現状では
「無農薬・無肥料での果樹栽培は、手間も時間も、人手も、年数もかかる。」
「自然栽培の畑は、基本的に草ぼーぼーで草刈りもしない。
秋場に地温を下げる為に刈る。」
→ 草を生やすコトが目的ではなく、化学肥料や農薬散布で弱ってしまった土壌に、本来の自然の力を呼び戻す為や、農薬をまかなくても、りんごの木を含む生態環境・自然環境を整える為に、草を刈らないだけ。りんごの葉っぱや実、幹を食い荒らしてしまう虫を食べてくれる虫を増やす(食物連鎖)のサイクルを農薬がなくても、整う為の手段なんです。
→慣行栽培でさえ、高齢化・人手不足・採算性が合わずに農業をやめていく中で、「リスクの大きい無農薬栽培」に挑むような体力は農家さんにはほとんどない。
(80歳のお年寄りに、健康の為にフルマラソンをしろ!と言ってるのと同じ)
「自然栽培と、自然農法」 「有機栽培と自然栽培」 それぞれの違いも、プロの農家さんでさえ正しく把握していない場合も多い。
「オーガニック」=有機栽培? 「オーガニック」=自然栽培? 日本での「オーガニック」の定義も曖昧。
→自然栽培は全く自然にまかせる訳ではなく、農薬や化学肥料・有機堆肥も入れない分、慣行栽培以上に経験や手間もかける必要がある栽培法である。
→木村さんの書籍(「腐敗実験」の項)を読めば分かるように、有機栽培の農作物と、自然栽培の農作物には雲泥の差がある。
2011年11月23日、自然栽培実践塾(木村さん動画)・・・
そして、今年も群馬のパン屋さん~大地からのおくりもの☆トライアングル~さんより、アップルパイやパンが届きました! もぅ何年くらいのお付き合いでしょう? 紅玉を求めて、店舗に寄ってくださって以来のお付き合いです。
「紅玉」はお菓子業界ではかなり需要があるのですが、あまり市場に出回らないし、大きいメーカーさんやレストランさんは受注生産で指定の農家さんと取引してるようなので、市場やJAに出荷したりする農家さんは、あまり栽培してなかったりします。
どの品種もそうなのですが、市場出荷だと毎年の価格が安定しないし、メインの「サンふじ」などに比べると、価格だけでなく買い手が一定ではないので、大量生産するにはリスクが大きいのです。農業も結局は採算性がないと成り立たないので、少しだけ作っても品種によって作業時季も、それぞれの品種でずれてしまうので、効率も悪くなります。 しかも、日持ちがしない!買い手がつかなかった場合に、日持ちがしない品種は本当にリスクが大きいです。
ジュースなどの加工に回したり、市場での価格が値崩れした場合に、直接の買い手を捜したりする余力がない農家にとっては、作り続ける意味がなくなってしまうのです。
例え、小口でも毎年、毎年、買ってくださるお客様が固定層としていれば、10年、20年とかかる果樹栽培を続けていけるのですが・・・。
そんな理由で、ただでさえ高齢化で人手が減り続けている果樹農家さんは、「紅玉の木」 は切ってしまう事が多いのです。
りんごの世界も、ファッションやスイーツと同じで流行の移り変わりが激しい業界です。どんどん新しい品種が、毎年、毎年、品種改良されて生まれてきますが、消費者の口にも、目にも届かぬうちに消えていく品種もとても多いです。
りんご品種一覧・・・http://homepage3.nifty.com/malus~pumila/tabl_2/tabl_2.htm
~現在、松木武久農園で栽培してないけど、お客様から要望がある品種~
・インドりんご
・ゴールデンデリシャス
・北斗
・千秋
・ジョナゴールド
~現在、栽培してる品種~
・サンつがる
・シナノドルチェ
・秋映
・シナノスイート
・シナノゴールド
・新世界
・紅玉
・世界一
・シナノピッコロ
・あいかの香り
・王林
・名月
・サンふじ
~来年以降に収穫できる品種~
・夏あかり
・シナノホッペ
・・・ケント
うちに働きに来てくれる方達や、お客様が、いつも言うのが
「りんごに、こんなに品種があるって知らなかった!!」
長野市内の方でも、そういう声がとても多いです。 うちがこんなにいろんな品種を栽培してるのは、武久君が採算が合わなくても古い木を切りたくなくて残してきたってのと、13年前に店舗を始めたからだと思います。
働きがあんまり良くないけど、長年付き合って情も沸いてる社員をリストラ出来ないで雇っていたら、時代と業務体型が変わった事によって、その社員が意外と役に立つ日がきた・・・。 そんな感じでしょうか?
ただ、果樹は野菜に比べると 「少量多品種で採算性」 を出すのが非常に難しいです。うちは店舗があったり、レストランへの直接卸しがあったり、スーパー卸しがあったり、他県の業者さんと取引があったり・・・売り先が需要に応じて、いろいろあるので何とか、かんとかやっていけてる状況です。
効率や採算性だけでいったら、今年のような全国的にりんごの収穫が減って、価格がはね上がってる中では、店舗でバラ売りしたり、手間も時間もかかる直接取引の小口の全国発送などしているよりは、ドドーンとトン単位で市場に出荷した方がよっぽど楽なんだと思います。
ただ、今年のような年はめったにないし、りんごの出来に関わらず、価格の変動・相場に左右されるのがイヤで始めた店舗です。
「今年は不作だったから儲からない。」 だったら、農家さんも仕方ないと納得するでしょう?でも、そういう訳ではないんです!
「今年は大豊作で、りんごの出来も上出来!」
・・・そんな年は収穫量が多ければ多い程、価格は値崩れします。需要と供給の関係で仕方ないとは思うですが、なかなか現場で農作業だけを本業にしてる農家さんにとっては厳しい現実です。一年かけて作った、とっても出来のいいりんご・それこそ生食でそのまま食べたら美味しいりんご、を加工にしか回せなかったり、二束三文で肥料代も出ないような価格で売らなければならない年もあります。
毎年、毎年が大バクチです。 市場の価格変動と、景気、そして何よりも自然環境、災害や台風、天候不順によって左右されてしまうのが農業です。きっとはうちの両親は、店舗を開くまでは 「お客様の顔」 なんて事は考えたコトさえなかった思います。市場で人気のある、「ニーズ、需要」のある品種・高く売れるりんごを栽培してきただけなんだと思います。
それが、まずは経済優先で、お店を開いてみたら・・・
「こんなに自分達が作ったりんごを喜んでくださる方達がいる! 昔の忘れ去られたような品種を買い求めに来るお客様がいる! 傷があったり、鳥がつついたり、色付きが悪くても、味さえ美味しければ、買ってくださるお客様がいる。」
農業をやってきて、初めて 「りんごを食べてくださる方達の顔」 が見えた瞬間なんだと思います。それは、経営が安定するという事以上に、嬉しい事だったんだと思うんです。
うさぎは、どっちかって言うと、アルバイトも接客畑を経験してきたので、接客の楽しさ・難しさとかは当たり前のように思っていました。雇われてする接客の仕事と違うのは、
「第一線の現場を知っている商品を売れる」
という事だと思います。 それはきっと大きな強みであり、弱みなんだと思うのです。私がお店で足かけ10年くらい接客してきて、当たり前のようにしてきた事が、お客様には新鮮だったり、または通じなかったり・・・。
だって考えてみてください! バナナだけ、さくらんぼだけ、みかんだけ、苺だけを売ってる店って経営が成り立つと思いますか?
例えば、パン屋さんはあるけど、ヨーグルト屋さんは・・・?
みんなが毎日飲むけど、牛を飼ってて、牛乳だけ何種類も売ってる店って・・・ないですよね?
牛乳とチーズとヨーグルト・・・それにジェラードやアイスクリーム・チーズケーキが商品にあったら経営が成り立つと思います。でも、それぞれの商品の企画から、商品開発、製造に経費がうんとかかるから、相当な売上があがらないと難しいでしょう。
それなのに、うちは・・・りんごとりんごジュースのみ(そりゃーお米やお付き合いのあるお店の商品、蜂蜜だの、味噌だの、桑の葉で作った石鹸だの・・・置いてあったりはしますが)
学生時代に親友に 「でも、凄いよね? のんちゃんちは、りんごだけ作って、のんちゃんを大学まで出して、家族5人で暮らしてるんだもんね? りんごだよ。 お菓子みたいなもんじゃん? 一個100円なんでしょ? 何個売ってるのさ???」
言われて 「・・・そ、そうだね。駄菓子屋みたいなもんだね。 何個って・・・とにかくいっぱいだよ。トンだょ。」
商売として考えると、相当うまくやらなければ、いっくら品種が多くっても、「りんごは果物であって、主食ではない」ので、難しい業態なんだと思うんです。
ただでさえ、経営の「ケ」の字も分かってないような自分が、農業で食っていこうとしており、しかも農業者としての経験や技術力がある訳でもない! そこにきて、「無農薬でりんご栽培」 を始める。
はっきり言って、狂気の沙汰です。 80歳で悪性腫瘍を抱えてるのに、孫を背負ってフルマラソンに出場する!
くらいの状況だと思います。 どうしてこんな道を選んでしまったのだろう?って思う日もあります。後悔とかではなく、本当に自分にそれをやりおおせるだけの力があるのか??? 今は、両親も何とか元気で、研修生達もいて、村の農業のプロのおばちゃん達もいて、頼りになる店員さんもいて、助けてくれる仲間もいて・・・周りに大迷惑かけながらやっていけてるけど・・・
人件費が払えなくなったら?
まず、両親のどちらかが働けなくなった途端に、うちは松木武久農園としては機能しなくなるだろう。
そして、それは石油が世界的に枯渇する日よりも、確実に早く訪れるだろう。
自分1人で農業で食っていける訳もない。しかも親の介護とかしながら・・・。病院代とか家事全般とかしながら。
ただでさえ、生っちょろい考えと、両親への甘えと、精神の脆弱さを抱えた自分に、そんなアクロバットな夢を実現できる訳がない!! 一体どうする気なんだ!?
「多品種・多生産の業態を見直す」
「無農薬栽培は諦めて、小さな畑とお店だけの経営にする」 →じゃー、農業をやろうと腹をくくった原点は? SFG会を応援してくださっていた仲間の想いは?
「品種は、無農薬栽培に合わせたものだけにして、お店は閉じて、栽培に集中して、受注生産のみにする」→せっかく松木農園のりんごを待ってくださってるお客様たちは? お店を自分の友人とかにまで、紹介してくださって応援してくださっている方達の気持ちは? 今まで一生懸命、営業してきた努力は?
「いっそ、自分が向いている営業力を生かして、フリーのバイヤーさんになって、農家とレストラン・消費者・流通業界のつなぎ役になる」→そんな仕事で食っていけるだけの能力が自分にあるのか? だいたい農業に携らないなら、自分にとっては、そこに農業に関わる意味があるのか? 「畑の現場に立ちたい!」という想いで、農業を始めたのに?
「松木家の存続と、親のコトだけを考えて、見合いしてサラリーマンと結婚する。農業は趣味程度」→親は大喜びだが、何の為に生まれてきたんだか???
「全てを諦める代わりに、自分の精神の安定だけ考えて、恋愛で好きになった相手となんとか結婚する」→結婚が人生の目的の生き方って? 自分が社会に果たす役割とか(女とか母親としてだけではなく)、今までの暗闇を迷子だった自分は? ひたすら自分がやるべき仕事を、自分なりの生き方を模索してきた年数はなんだったのか??? だいたい、そんな女と結婚する相手が不幸だ。 結婚は薬じゃねーっての。
もぅ、何年も考え尽くしたコトだけど、迷いながらも 「農業に人生を捧げる道」 を進み続けている自分。確かに、営業の結果は出てきてはいるけど、無農薬でりんごを数個だけは実らせられたけど・・・確実に、たちゆかなくなってる部分もある。
答えなんか、ちっとも出ない。
2010年冬、木村さんに初めてお会いする! 2週間後、SFG会(信州を農業から元気にする会)開催後に、青森での「永続性循環型農業シンポジウムに参加」&木村さんの畑を見学させて頂く。
↓ 木村興農社の方が畑まで指導に来てくださる。
せっかく木村さんとツテが出来て、指導もしてもらったのに・・・びんずるだ!セミナーだ、イベント出店だ!・・・と畑に行かずにいたら、実ったりんごは黒星病で全部落下。 葉も8月半ばに全部なくなる。 あまりの自分の不甲斐なさに自分をバカボンにしてみる。。。
山梨の先輩のお宅に畑見学に行き、貴重な木村さんのりんごを食べさせて頂く!!
りんごの花言葉・・・http://www2u.biglobe.ne.jp/~oue/t_hanakotoba.htm
りんごの唄(並木さん)・・・http://www.youtube.com/watch?v=OFXIXF_RYyw&feature=related
りんごの花(青森新幹線CM曲)・・・http://www.youtube.com/watch?v=Rb1TGkXiHLc
Posted by 松木うさぎ at 01:07
│松木武久農園について